男の子はきっと忘れられない2

(前回の谷口の日記のショートストーリーの続きです。ちょっと長め)

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それは、1人の男の子についての物語である。

その男の子は、1人の女の子に対して冷たい態度を取ってしまった。

理由は男の子にとって、とても落ち込む事があったからである。

落ち込んでいた状況から立ち直った時、自身の浅はかさに気づいた。

改心し、自身の気分が良くなくても他人にそんな素振りを決して見せないと心に留めた。

 


この話は、それから1年経ったときのお話である。

 

 

 

あの日から1年後、男の子は高校2年生になっていた。

初めてのクラス替えが行われ、心機一転できる時期であろう。

 


2年生は1番楽しい時期だ。中学2年生の時もそうだった。

中学2年生…そう、あの女の子と同じクラスになったのも中2だった。

 


男の子はそんなことを考えながら、男の子は新しいクラスに馴染もうとしていた。

 


高校2年生になると、進路に応じたクラス分けがなされる。

文理選択、国公立私立など。

1年生だとそれがバラバラなので勉強のモチベーションに大きな差があったが、2年生になるとその差も縮まる。

 


男の子はそう感じたのだろう。クラスメイトと積極的にコミュニケーションを取っていた。

 


しばらく経つと、男の子は新しいクラスに馴染んできた。

もうすぐあの日から1年が経とうとしていた、そんなある日のことである。

 


その日は、高校のイベントが行われる数日前だった。高校のイベントは年1回行われるため、高校生活の中で合計3回、イベントに参加することになる。

 


もし女の子に会えたら…

そう考えていたため、そのイベントに対しては思い入れがあった。

 


そんなタイミングで、ふとLINEを見ると、通知が来ていた。

トーク画面の1番上を見ると、友達追加してない人からの2件の不在着信のメッセージが表示されていた。

 


…電話をかけてきたのか?

 


さらに下の方に目をやると、

 

 

 

「好きです」と書かれていた。

 


間違って友達に送られてしまったと弁明している…が、その弁明がやけにあっさりした文章だった。

 


分からなかった。

 


話したこともないのに。

なぜ好きになったのか。

 


男の子は分からなかった。

 


必死に考えを整理した結果、男の子は様子を見ることにした。

対面で改めて謝ってくるなら友達のイタズラは本当で、男の子自身のことはなんとも思っていなかったことになる。

男の子はそう考えた。

 


…しかし、そうならなかった。

会話すらしなかった。

よそよそしいままだった。

 


男の子は普段の様子を思い返してみる。

 


物静かな子だった。

しかし、男の子が近くに行くと様子が違うように感じた。

この女子が男の子に対して抱いていた気持ちを、男の子は何となく察してしまった。

 


その瞬間、今までの疑問は怒りに変わった。しかし、誰に対しての怒りなのかは分からなかった。

女子が男の子に想いを寄せていたとして、友達がやったというのが本当だとしたらその友達は酷いことをしたとなるだろう。1つの恋を終わらせてしまったのだから。

一方、嘘だとしたら想いの伝え方としては最低だ。

つまり、ただ男の子にイタズラLINEが来たという事実が残っただけなのである。

 


結局、男の子は高校のイベントで女の子にも会えず、LINEを送ってきた女子とは1年を通じて一切話さなかった。女子からしたら話すきっかけが欲しかったのかもしれない。しかし、そうだとしたらそのきっかけの作り方が酷すぎる。

 


もらったらうれしい言葉のはずなのに、全然うれしく感じられなかった。

 


恋愛は自分にとって無縁なのだ、と男の子は落ちこんでしまった。

 


…そんな男の子の心に変化が訪れたのは、ずっと先の未来の話である。

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続編希望者がいたので書きました。4回生が出しゃばってごめんなさい。